2016年 11月 17日
世界で一番の贈りもの |
マイケル・モーパーゴの作品を集中して読んでいる。
一番有名なのは「世界で一番の贈りもの」だろう。
骨董屋で購入した机の引き出しから一通の手紙を見つける「ぼく」。
その手紙には1914年のクリスマス、凍てつく西部戦線でドイツ軍の兵士たちとイギリス軍の兵士たちが白旗を立ててクリスマスを互いに祝ったことが書かれていた。無人地帯を恐る恐る歩み寄った一人の兵士から、それは始まった。やがて彼らは自己紹介しあい、語り合い、ラム酒やソーセージやケーキまで持ち出し、笑い合って食べた。サッカーの試合で2-1でドイツが勝ったとき、ドイツの将校は「いや、あれはイギリス側のゴールが広かったからだ」と慰めた。楽しい時間はあっという間に過ぎ、それぞれの塹壕に戻る。ところがその後も寝静まるまでクリスマスキャロルを互いに歌い合うのだった。
「ぼく」は手紙の持ち主を探す。老人ホームで見つけた身寄りのない老婦人は「ぼく」を「ジム」と思う。
「あなた、そう言ったものね。クリスマスには帰るって。ねえ、あなた。とうとう帰ってきてくれたわ」物語はここでおしまいである。
イギリス兵もドイツ兵も戦場のまっただ中でさえ、共に祝ったクリスマス。
一体誰が互いを「敵」にし戦争させるのか?
ゲームのコマのように使うのか?
国は違っても家族を思う気持ち、平和を願う気持ち、帰郷したい気持ちは同じである。そしてクリスマスキャロルのメロディも同じである。
一人で夫の帰りを待ちわびる妻たち。何年も何年も待ち続ける妻たちの悲しみもまた共通する。
こんな悲しみを味わわせるのは一体誰なのか?
兵器を作る人、それを消費してもらいたい人。
そんな人はまさしく「死の商人」である。
「死の商人」が大統領をもあやつる政治は決して許されない。
マイケル・モーパーゴの作品テーマは戦争、原発、脳死、ドッグレースと幅広い。
「走れ、風のように」ではドッグレースに出ることになるグレイハウンド犬が主人公である。
http://tsunayoshi.tokyo/c/3f82f7b6a77b42a805f0fc101b795598a73c62a4
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by pompom518
| 2016-11-17 11:51
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